09 7月 2013

ニューヨーク市の住宅再生事業 : ビルド・イット・バック

昨年10月にニューヨーク市を襲ったハリケーン・サンディは被害と課題を残して去っていきました。住まいを失った市民のために取られた対応策のひとつは、以前ブログで紹介した「ラピッド・リペアズ」(Rapid Repairs)事業でした。それに続き、ブルームバーグ・ニューヨーク市長は今年6月3日に「ビルド・イット・バック」(Build It Back)という住宅再生事業を発表しました。極めて早いペースで前例の無い柔軟な被災者救済策が実施されることになります。

「ビルド・イット・バック」事業は、甚大な被害をもたらしたハリケーン・サンディの被災地域復興のため、連邦政府から支給される助成金を、資金を必要とする市民に円滑に配分する仕組みとしてニューヨーク市が実施するものです。

5月10日の市長室の発表によると、ニューヨーク市が策定し、事業費$17.7億が見込まれる「コミュニティ開発包括助成金を活用した災害復興実行計画」(Community Development Block Grant -Disaster Recovery Action Plan) が連邦政府に認可され、次のとおり、計画を構成する主要事業に資金が配分されることが決まりました:1)住宅再生事業-$6.48億;2)ビジネス再生事業-$2.93億;3)インフラ及び公共サービス再生事業-$3.6億;4)災害復興に強いまちづくり(弾力性)への投資-$2.94億;5)市全体の復興事業企画運営-$1.77億。

このうち、住宅再生事業が「ビルド・イット・バック」事業として実施されるのです。このプログラムへの申請者の多くは一戸建て住宅の所有者でしょうが、コープやコンドミニアムの所有者、或いはアパートを借りる人も場合によっては申請が可能です。

この支援事業には4つのメニューがあり、各申請者はそれぞれの状況に応じ支援メニューを選択します:1)住まいの被害が修理可能な程度であれば「Repair」(修理);2)修理が不可能で建て直したい場合は「Rebuild」(建て直し);3)すでにある程度住まいの修理を自費で行っている場合は「Reimbursement」(払い戻し);4)修理・再築を断念し、ニューヨーク市や州による買取を希望する場合、「Acquisition」(売却)。

市の公営住宅のためにも$1.08億が用意されていますが、この使途の詳細はまだ未発表です。

修理や再築の場合、6月13日に発表された新しい建築基準に沿って行う必要があります。また、市が買い取る場合、市は州と連携し、取得した土地をオープンスペースとして活用したり、高い災害復旧力(弾力性)を備えたまちづくりを目指し再開発することも考えられます。

「ビルド・イット・バック」事業に必要な資金は連邦住宅都市開発省を通して市に配分されます。市は同省が設けた基準に基づき被害の程度と申請者の経済状況を考慮し、申請者に対する優先順位を設け、限られている助成金の交付を行います。保険金やその他FEMA(米国連邦緊急事態管理庁/Federal Emergency Management Agency)からの助成金とも重複して受給でき、ニューヨーク市内の五区に居住していれば申し込み可能です。

申請時に必要な書類は身分証明、所得証明、申請する住所に実際に住んでいることを証明する書類(光熱費の請求書等)、すでに受給した保険金等を証明する書類、自費あるいは政府から支給された補助金で支払った修理費の領収書等。

「ビルド・イット・バック」事業への登録・申請は、ニューヨーク市行政情報やサービス案内を行う「ダイヤル311」あるいはオンラインで行うことができます。また、「ビルド・イット・バック」事業に関する情報や申請の手続きについての説明は「NYC Recovery」(ニューヨーク市復興事業)のウェブサイトを通して確認することができます。

ハリケーン・サンディの直撃を受けたロッカウェイ地区の住宅


Matthew Gillam 上席調査員