02 7月 2013

米国JETプログラム経験者の会(JETAA USA)からの寄付金を活用した「学びの部屋」の取り組みについて

陸前高田市で実施されている学習支援プログラム「学びの部屋」に対する評価は高く、釜石、大船渡、宮古の三市にも「学びの部屋」が設立されました。この取り組みは文部科学省にも注目され、全国的な事業展開も検討されているとの情報がこのほどJETAA USAに伝えられました。

東日本大震災直後、米国のJETプログラム経験者が組織する「JETAA USA」は、直ちに被災地支援のため寄付金募集活動を始め、およそ$90,000を集めました。また同時に、集めた寄付金による「Relief Fund」の使途についても議論を重ねました。

集めた義援金を赤十字のように広く認知された団体に寄付することは容易ですが、JETプログラム経験者達は、日本で培った知識や経験を生かし、自ら寄付する先を決めることにしました。限りある寄付金を有効に使うため、JETプログラムとも目的を共有できる取り組みに対して利用したいと考えました。

そして、子供を中心とした教育と国際交流に通じる取り組みに対して、また、JETプログラム参加者(ALT)の犠牲者が出た陸前高田市(モンティ・ディクソン/Monty Dickson)と石巻市(テイラー・アンダーソン/Taylor Anderson)を拠点にする事業に対して支援することにしたのです。多くの人々の協力を得て、数ヶ月を費やしながら、東北の子供とその家族を支援する幾つかの取り組みを探し出しました。

そうした取り組みのひとつが「学びの部屋」です。「学びの部屋」は、陸前高田市教育委員会の全面的な支援と協力の下、「一般社団法人子供のエンパワメントいわて」が実施する学習支援プログラムです。十分な学習の時間が確保できない被災地の子どもたちに、放課後の教室などを活用しながら、学びの場を提供しています。

地元の岩手県立大学等から募集したボランティアスタッフが学習支援員としてサポートにあたり、子どもたちに、学習の場としての「空間」、放課後に学習するという「時間」、一緒に学ぶ「仲間」を提供しているのです。また、こうした学習の合間の休憩や仲間との雑談は子どもたちにとって大切なリラックスできる「すき間」にもなっています。こうした「間」の提供を通じて、「学びの部屋」は被災地における学習支援を行っているのです。

「学びの部屋」とは言いながら、勉強だけではなく、精神面を育成する要素も含まれています。勉強できる静かな場所を提供するとともに、家庭教師役を担うボランティアスタッフとの信頼関係も日々築きあげられています。そうした関係をベースに、運営する側は子どもたちの話に耳を傾け、彼らの問題把握にも努めており、必要に応じて行政の福祉関係部局とも連携し、サポートを得る体制も備えています。

2011年の秋に、子供のエンパワメントいわての「学びの部屋」の提案に対し、JETAA USAは「Relief Fund」から$25,000(当時のレートで約190万円)を拠出すると決めました。それから、JETAA USAの寄付に併せて、文部科学省等も支援を決め、2011年11月に陸前高田市で活動が始まりました。この文科省の支援金は「学びの部屋」に使われ、JETAA USAの寄付金の大部分は結局英語検定の受験料として使われることになりました。その年、「モンティ先生」の影響によって試験を受ける陸前高田市の中学生の数は例年より三倍以上に増えて500人ほど(中学生の八割)にもなったのです。現在、同市では206人の生徒が「学びの部屋」に参加しています。「学びの部屋」参加者の一人は市内の高校入試を受験した際、約600人の受験者の中で最高得点をとることまでできました。

これからも、「モンティ先生」や「テーラー先生」の意志を子供たちが受け継ぎ、英語に留まらず、多くを学ぶことをJETプログラム経験者達はとても期待しているのです。


Matthew Gillam

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