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アメリカの新たな地方債保証相互会社

2012年7月23日、全米都市連盟(National League of Cities)は、新たに設立された地方債専門の保証会社Build America Mutual社 (以下「BAM社」という。)への支持(Endorsement)を発表しました。リーマン・ショックによりアメリカの地方債市場で保証業務を行っていた会社の多くが破綻したことを受け、全米都市連盟は、自治体が円滑に資金調達を行えるようにするための新たな地方債保証会社の設立を提唱していました。(注1)

BAM社は、ニューヨーク州法に基づいて設立された保証を受ける自治体を会員とする相互会社で、運営管理には金融の専門家が当たります。保証対象については、従来の地方債保証会社が、病院、住宅等の企業債(注2)や、仕組債、変動金利債等も対象としていたのに対し、長期・固定金利の低リスク地方債(一般財源担保債及び必要性・公共性の高い事業のレベニュー債)のみを対象とし、従来の保証会社よりも低コストでの保証提供を可能にするとともに、将来的には会員自治体への配当を行う、と発表しています。格付機関Standard&Poor’s社は、BAM社に対し、AAの格付を付与しました。

(注1)全米都市連盟がBAM社を設立したわけではありません。

(注2)アメリカでは、通常、市町村などの一般目的地方公共団体とは別法人である特定目的地方公共団体(日本の公社のような組織)がこうした事業の運営に当たりますので、日本の自治体が公営企業として運営する病院事業等とは仕組みが異なります。

2012年7月24日

上席調査役 川崎穂高