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「Rebuild by Design」の発表会について

ハリケーン・サンディの襲来から一年が経ち、住宅の修復工事や店舗の再開、インフラの復興等の努力が続いています。このような中、サンディ復興タスクフォース(Hurricane Sandy Rebuilding Task Force)が立ち上げた「Rebuild by Design」において、10チームがアイデアを発表するコンペが、10月28日にニューヨーク大学で開催されました。

タスクフォースは2012年12月に大統領命令によって設立され、連邦政府の住宅都市開発省(HUD/Department of Housing and Urban Development)の長官がトップを務めています。今年に入ってから、タスクフォースはニューヨーク大学の公共知識研究所(Institute for Public Knowledge)及びHUDと提携し、「Rebuild by Design」を発足させました。この事業は、行政・学界・経済界・基金や慈善団体・市民らが協力し、被災地を再建して単に元の姿に復元するのではなく、日常生活の利便性を向上させつつ、災害に襲われても復旧しやすい街をつくろうとする取組みです。

「Rebuild by Design」の募集に応じて148チームが復興事業の案を提案し、その中から選ばれた10チームが、10月28日のコンペの場で事業の概要や今後の方針を発表しました。

気候の変動によってサンディのような災害の発生が今後も予想されるため、災害対策を踏まえたインフラ整備を行う際には、市民やコミュニティの活動に与える影響を考慮し、利便性も向上するような設備にする必要があります。また、各地域の地理的な状況などを踏まえ、災害の発生しやすい場所では、被災しても容易に復旧できる体制を整えることも必要です。

自然災害はあらゆる分野に影響を及ぼすため、縦割り構造の行政を超えて、様々な領域の知見を踏まえた包括的な対策が求められます。また、広い範囲の地域を分析した対策であっても、地域の特性を踏まえて狭い範囲の地域にその対策を適用することは十分に可能です。

公共知識研究所ディレクターのEric Klinenberg氏から以上のような意見が各チームに伝えられ、彼らはこれから実現に向けた実施計画を作成することになります。

提案された復興事業の案が実際に実施されるまでの資金は、HUD、民間基金そして慈善団体から提供されます。各チームの実施計画は2014年3月に発表され、採択された計画は各地域で実際に実行に移される予定です。

Matthew Gillam, Senior Researcher