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ラトガース大学が開発する自治体行政評価システム

11月14日、ニュージャージー州立ラトガース大学公共・行政管理学部(School of Public Affairs and Administration)のマーク・ホルツァー学部長と、ルース・マクィディ全国行政パフォーマンスセンター(National Center for Public Performance)所長が当ニューヨーク事務所を訪れ、現在開発中の自治体行政評価システムについての説明とデモンストレーションを実施しました。

冒頭、ホルツァー学部長は、行政管理に必要な要素として、①誠実さと倫理(汚職防止)、②巨大な行政組織を運営するマネジメント技術、③職員のモチベーション、④行政サービスの生産性・達成度の測定(期待値と実績値)を上げた上で、アウトプット(例えば警官を○人増加)に対する定性的な評価から、できるだけ定量的なアウトカム(例えば犯罪件数が○件減少)の測定に移行し、利害関係者、公選職、市民に対してその状況を説明し、予算編成などの意思決定や、内部管理に活用していくことが重要だ、しかし行政管理学の分野は、その点、ここ数十年で大幅な進歩を遂げてきたとは言えない、と述べました。そして、行政の経営改善を進めていくためには、技術、職員の教育、優良事例情報、経営効率指標、関係者への報告が必要な要素である一方、一般の自治体には、自身の経営効率を評価するためのデータ資源がなく、これを補うために、民間企業と連携し、低廉な料金で利用できる行政評価システムを来年3月の完成を目途に開発している、と述べました。

続いて、マクィディ所長から、開発中の行政評価システムについて、ニュージャージー州内5自治体の警察分野を例にとって説明が行われました。

システムは、条件の類似した自治体間で効率性の評価が可能となるよう、人口あたりの警察官数、人口あたりの犯罪発生件数など、普遍性があり、かつ既に捕捉されているはずの指標をKPI(Key Performance Indicator)として設定した上、類似の団体間比較や、経年比較、設定した目標の達成度など、様々な視点からデータを分析するものです。同所長は、このシステムにより、犯罪発生率の低下が警官を増やしたことなど自団体の努力によるものか、それとも全体的な傾向によるものなのか、他団体と比べて警察官を多く配置している団体が投入コストに見合った犯罪件数減少や逮捕率増加などの成果を挙げられているか、といった分析が可能であると説明しました。

また、同システムはクラウドシステムとして構築される予定であり、参加する団体が増えればそれだけ比較データも充実できると共に、各自治体が独自に大規模なシステムを構築する必要がなく、小規模な自治体であれば年間1,500ドル程度、大規模な自治体でも年間数万ドル程度(概ね人口一人当たり15セント)のコストで利用できることを目指している、とのことでした。

ホルツァー学部長は、全米公共問題・行政大学院協会/全米行政管理学会(NASPAA/ASPA)から優秀研究賞を受賞するなど、行政管理学の分野では著名な研究者です。従来から当事務所が発行するニューズレターを購読し、当事務所に関心を持っていただいていたことなどが、今回の当事務所訪問につながりました。

  2011年11月14日    

上席調査役 川崎穂高