15 10月 2020

電動モペットシェアリングサービス「Revel」について

近年、車や自転車、電動スクーターなど、乗り物のシェアリングサービス市場が急速に拡大している。今回は、米国で新たなマイクロモビリティ(※1)シェアリングとして受け入れられつつある、「Revel」(※2)について紹介したい。

Revelは、2018年7月にニューヨーク市ブルックリン区に拠点を置くスタートアップ会社「Revel Transit」社により開始された、電動モペットライドシェアサービスである。現在ニューヨークのほか、ワシントンD.C.、フロリダ州マイアミ、テキサス州オースティン、カリフォルニア州サンフランシスコ、バークリーでサービスを展開している。

モペット(moped)とはペダル付きのオートバイで、エンジンや電気モーターなどの原動機だけで走行することも、ペダルをこいで人力だけで走行することも可能な車両の総称である。Motor(モーター)と Pedal(ペダル)を語源としている。ただし、日本以外の国ではペダルの有無にかかわらず小排気量のオートバイ全般がモペットと呼ばれており、Revelはペダルの付属がない。いわゆる、原動機付自転車である。

Revelは車道を走ることとされており、歩道や自転車用レーンの走行は禁止されている。また、高速道路の走行や橋を渡ることも認められていない。安全のために速度は30mph (48 km/h)までしか出ないように設計されている。

利用方法は、キックスクーターや自転車シェアリングと同様にアプリがベースとなっており、ユーザーがアプリを介して電動モペットを見つけ、予約、ロックの解除、乗車ができる。利用後は、決められた区域内(マップ1、2の白いエリア)であれば、合法的な駐車スペースにどこにでも乗り捨てることができる。21歳以上のDriver License保持者なら登録可能である。

(マップ1)青丸が電動モペットの位置 (マップ2)マップ1を拡大したもの

料金は、鍵を解錠するのに1ドル、その後1分あたり35セント加算されていく。また、運転手のほか、1ドルの追加費用で後部座席に1人乗車可能である。賠償責任保険はこれらの料金に含まれており、また、それぞれの車体のストレージにヘルメットが2つ常備されている。その他必要な費用は、初回の登録料5ドルのみである。例えば、15分の乗車が必要な場合、UberやLiftなどのライドシェアでは20ドル程度必要であるが、このRevelを利用すると6ドル未満に抑えることができ、非常に経済的であることがわかる。 Revelは、2018年8月にブルックリンでサービスを開始してから、着実に利用者を増やし、サービス区域を1年後にクイーンズへと拡大、そして2020年3月26日からマンハッタンとブロンクスに拡大した。Revel社によると、一日あたりの平均利用者数は、2020年3月上旬の 4,181人に対し、5月上旬は8,881人であったとされており、短期間で倍増していることが読み取れる。3月下旬のロックダウン後、多くの人が地下鉄の利用を避けたこともあり、人気が急上昇した。

しかし、利用者が増加するにつれ、ヘルメットを着用しない運転手や、信号無視、歩道を走行するなどの交通違反が多数目撃されており、危険性が指摘されるようになった。

ニューヨーク市運輸局によると、2020年1月から7月の間に、約330件ものRevelの衝突事故があった。そして、7月18日に初めてRevelによる死亡事故が発生してしまった。その後再び7月25日に死亡事故が起こってしまい、それを受け、Revel社はニューヨーク市と協議の後、ニューヨーク市でのサービスを7月28日以降休止することを発表した。ニューヨーク市長は同日の記者会見で、今後Revel社がサービスを安全に運営する方法を見つけない限り、ニューヨーク市内でのサービス再開を認めることはできない、と述べている。

サービス停止から1か月後の8月27日、市運輸局は、Revel社が新しく厳格な安全プロトコルの下で、サービスを再開することを発表した(※3)。強化された主な項目として、全てのライダーに交通規則などに関するトレーニングの受講を必須としたこと、乗車前にヘルメット着用の写真をアプリ上にアップロードしない限り、エンジンを起動できないことなどが挙げられる。また、運転に自信がない人に対して開設している無料講習の枠を、週112から1,164に増やした。さらに、アプリ機能を強化し、公園や一方通行の間違った道を走る運転者を特定できる機能、一般の人々が危険な運転者を報告できるコミュニティー報告ツールも導入された。その他、サービス再開から60日間は、事故が発生しやすいとされる深夜0時から午前5時はサービスを停止している。

この新しいプロトコルは、60日の試用期間後、Revel社とニューヨーク市で再度検討される予定である。また、市運輸局によると、市は今後ステークホルダーの協力のもと、ニューヨーク市でのモペットシェアリングサービスの運用に関する規則を制定する予定であるとのことである。

安全面に不安は残るものの、Revelはニューヨークのような大都市にとって、交通混雑の緩和、時間の節約、さらには環境への配慮といったさまざまな効果が期待される。Revelを筆頭としたマイクロモビリティーシェアリングサービスは、特にコロナ禍において、地下鉄、バスやライドシェアなどといった密閉空間のリスクにある公共交通機関の代替として、人々の新たな足として益々定着していくであろう。

※1 自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両を指す。

※2 https://gorevel.com/new-york/

※3 https://www1.nyc.gov/html/dot/html/pr2020/pr20-035.shtml

(有馬所長補佐 神戸市派遣)