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議会で利用されるiPadの追加情報

先日、ノースカロライナー州コールネリウス町の町議会へのiPad導入についてのブログを書いた直後、同時期に行われた全米州議会議員連盟(NCSL)の年次総会のセッションで、州議会へのiPad導入についての情報を入手した。

NCSLの年次総会では、テキサス・バーモント・バージニアの3つの州のiPad導入に関するプレゼンがあり、各州のIT担当者が現状について説明した。iPadは議案を読んだり、法案改正作業を行ったりするだけではなく、調査や情報交換にもかなり役立っているとのことである。個人的にアプリケーションを買ってダウンロードすることにも特段の制限はないようである。

テキサス州では2年に一度、定例議会を開催しているが、下院議員150名と上院議員31名全員がラップトップを使用し、スタッフはデスクトップ型パソコンを使用している。各コンピューターは6年ごとに取り替えられる。ただ、最近、iPadの使いやすさと携帯性が人気を呼び、議員やスタッフが自分のiPadを持ちこみ、議会の仕事に利用したいというケースが増えてきたそうである。したがって、議会はiPadを導入するというよりも、iPadをサポートする体制に入ろうとしているといったほうが正しいだろう。現在、既存のコンピューターシステムに接続し、ラップトップなどに追加する形でiPad導入の要望に応じようとしている段階であるが、好評のため、今後はラップトップの変わりにiPadを正式に導入することが検討されているとのことである。

バーモント州の場合は、テキサス州などと状況がかなり違う。いまだに紙だけの議案等を使い、議員の席にはコンピューターはない。電子メールさえ使わない議員もいるそうである。現在、パイロット・プロジェクトとして(試行的に)、House Government Operations Committee(下院行政運営委員会)のみがiPadを利用しているが、まだ州議会全体に支給するかどうかは検討中。しかし、自然環境保全・使いやすさ・携帯性等の各面において委員会のメンバーからの評価が高いため、積極的な議員からは広く取り入れるべきだという要望があると予測される。パイロット・プロジェクトは、19台のiPad、ケース、キーボードなど、総額12,500ドル で実施された。また、紙から電子システムに移行する上で、法律上義務付けられている書類・記録等の保存をどのような形で行うかという法的な問題も生じているとのことであった。

バージニア州の州議会では、上院下院が個別にiPadを試用し、全員に支給するかどうかを検討しているそうである。上院では、General Laws and Technology Committee(法と技術に関する一般委員会)のメンバーに配布し、利用している。下院では、議員から試用希望者を募り、応募した約40名の中から16名を選び、結果をヒアリングした。今後は、全面的導入に向けて、様々なアプリケーションの購入あるいは開発を前向きに検討しているとのことである。

すべての場合、環境保全の利点以外に、電池の持続性・携帯性・使いやすさなどが評価されているが、議事堂内のWiFiアクセスなどの技術的な問題や既存のシステムにどのように統合すれば良いかなどが一番の課題となっているようである。

参考サイト

2011年9月27日
執筆:Matthew Gillam, Senior Researcher