25 9月 2020

ニューヨーク市のスポーツ活動の再開について

ニューヨーク市では、3月16日に学校やスポーツジムが閉鎖、4月1日にオープンスペースを除く全てのプレイグラウンドが閉鎖された。3月20日に州知事が、3月22日以降、可能な限り自宅にとどまることや、他者との距離を6フィート保つこと、人数の規模によらず人々が集まることを避ける旨の執行命令を発出したことにより、団体競技や、相手を必要とするスポーツ活動を実施することができなくなった。健康維持のため、一人で行う散歩やランニングが認められていたことは幸いではあった。

州知事は6月15日の定例会見で、ガイドライン「INTERIM GUIDANCE FOR SPORTS AND RECREATION DURING THE COVID-19 PUBLIC HEALTH EMERGENCY」を示し、7月6日以降、スポーツ活動の再開を限定的に認めることを発表した(プロスポーツや学校スポーツは別途ガイドラインが設けられている。)。ガイドラインでは、他者との物理的な距離を取ることが可能か、用具や機器の共有の有無などといった基準により、スポーツを低リスク・中リスク・高リスクの3段階に分類し、それぞれのカテゴリでどのような活動が認められるかなどについて示している。

7月6日から認められることになったのは、低・中リスクに分類されたスポーツ活動である。主なスポーツ活動の例として、野球、ソフトボール、テニス、サッカーなどが挙げられ、地域外への移動を伴うトーナメントやリーグ戦を除くすべての活動、例えば、個人・グループ練習、地域内での練習試合や試合などについて再開することが認められた。

しかし、州政府により低リスク・中リスクのスポーツ活動の再開が認められたにもかかわらず、ニューヨーク市では実際にそれらが再開に至るまで、更なる時間を要した。というのも、ニューヨーク市は、健康と安全上の懸念から、市の運動場や野球場の使用許可証の発行を認めなかったのである。ニューヨーク市では、個人や団体が市の施設を利用する場合は、事前に市の公園局に使用申請を行い、使用許可証を発行してもらう必要がある。使用許可証の発行がない場合は、市の施設は先着順で利用されることになり、野球やサッカーといった大きなスペースを必要とするスポーツの練習や試合を行うことは難しい。スポーツ団体や子どもとその保護者は秋シーズンから使用許可証の発行が再開されることを望んでいたが、市の公園局は、8月中旬に、引き続き秋シーズンの許可証の発行を見送るとの発表を行った。その決定にスポーツ団体や保護者は猛抗議し、それを受けニューヨーク市長は、9月15日以降、青少年の屋外での活動に限り、市の運動場や野球場の使用許可証の発行を認めることを8月28日に発表した。これをもってようやく青少年のスポーツ活動の一部がニューヨーク市に戻ってくることになった。

使用許可証を発行するにあたっては、以下の要件を満たすことが必須とされている。

  • コーチ、スタッフ、観客は常にフェイスカバー(マスク等)を身に着けること。可能な限り、プレイヤーも身に着けること。
  • プレー中で距離をとるのが難しい時を除き、常にソーシャルディスタンスをとること。
  • 観客は1人のプレイヤーに対し、2人までとすること。
  • 試合後は速やかに解散すること。
  • これらの規則が守られているかどうかは、常に市の職員が監視しており、3つ以上の違反が見つかった場合、許可は取り消される。また、ニューヨーク市の陽性率(※1)が3%を超える場合、すべてのスポーツの許可が一時停止される。

    このように徐々にスポーツ活動は再開しつつあるが、依然制限は大きい。市の使用許可証の発行は、屋内の活動や成人のスポーツ活動には認められていないため、練習や試合のスケジュールを組むことが難しい状況にある。また、フットボールやアイスホッケー、ラグビー、バスケットボールといった高リスクに分類されたスポーツの活動については、個人での練習や身体的接触を伴わないグループ練習に限り認められており、練習試合や試合は禁止された状態が続いている。

    スポーツ活動は、健康面、経済面、社会面、文化面で大きなメリットをもたらす。健康や安全が第一であることは言うまでもないが、できるだけ早くすべてのスポーツ活動が再開されることを祈るばかりである。

    ※1 1日のPCR検査実施件数に対する、陽性反応を示した件数の割合。ニューヨーク市では、多い日は1日あたり10万件以上のPCR検査が実施されている。

    (有馬所長補佐 神戸市派遣)