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地方税源を巡るカリフォルニア州と自治体の対立

米国の州政府と地方自治体との最も興味深い特徴の一つは、彼らのいわゆる“くっついたり離れたり”の関係である。我々の日本人の同僚や読者が、米国の州政府と地方自治体の関係をしばしば十分に認識していないことの一つは、地方自治体が州政府の“創造物”であることだ。つまり、地方自治体は州政府によって如何様にも変えられるのだ。その事実を証明するのに、カリフォルニア州の政治ほど適したものはない。最近の州政府と地方自治体の小競り合いは、再開発公社まで巻き込んでいる。

2011年1月ジェリー・ブラウン氏は、カリフォルニア州の予算が逼迫している時期に新州知事に就任した。増税のためには乗り越えることが困難な高いハードルがあり(カリフォルニア州で増税または新たな税を課すには、議会において圧倒的多数(3分の2以上)での可決が必要)、直面している2011~2012会計年度の予算ギャップを縮めることが必至のブラウン氏は、収入源の一つである地方の再開発公社に目を付けた。彼は地方の再開発公社の扱いについて、州政府に17億ドルの収入が得られる大胆な提案を行った。折しも州政府の会計監査官室が地方の再開発公社の監査を実施し、州知事の提案を議会及び住民にアピールできる、公社の支出に関する問題の種を発見した時である。

再開発公社は、カリフォルニア州の地方自治体によって設立される。もちろん州法に基づくものである。公社は、都市部のいわゆる“荒廃地域”を減少させることに役立てられるはずのものである。荒廃地域とは、老朽化または荒廃した都市の一部を指すが、”brownfields”(利用されなくなった産業設備、工業地域)を指すこともある。それは、景気後退、住民や企業の流出、老朽化した社会基盤の質を維持するための高いコストなどの複合要因による、建物、地区、都市の視覚的物理的な衰退である。一度、建物や地域が荒廃し始めると、周辺の建物や地域へも影響を与えるため、より多くの地域や建物が放棄され朽ち果てることになる。この衰退を阻止することを目的に、再開発公社は創設された。

再開発公社の資金源が、現在の州政府と地方自治体の対立の根源である。そもそも、公社が事業を実施するには借金が必要である。そのため州政府は、1951年にTIF(Tax Increment Financing。開発に伴う将来の固定資産税上昇分を償還財源として、債券を発行することによる、開発資金の調達方法)を通じて固定資産税収入を公社が利用することを可能とする法律を制定し、1952年に州憲法の修正条項として住民投票でも承認された。今日、カリフォルニア州にはおよそ400の再開発公社があり、毎年55億ドル前後の収入を得ている。これら公社は、地方の固定資産税の約12%を使用している。

ブラウン知事の提案は、再開発公社を解体し、2011~2012会計年度内に以下のことを行う条件で後継機関の設立を認めることであった。

  • 公社の債務22億ドルを返済すること。
  • 州政府の二つの地域事業(医療扶助及び地方裁判所の運営)のために17億ドルの資金を州政府へ提供すること。
  • 学校及びその他の地方機関へ11億ドルの資金を提供すること。
  • 現在公社が歳出に充てている収入のうち、2億1千万ドルを地方自治体へ提供すること。

州上院議員のアラン・ローザル氏の首席スタッフは言う。「このような財政危機に直面しているとき、最も望ましい納税者のお金の利用方法とは何か。我々は学校教育や治安維持に集中すべきか、あるいは開発のために税金を使うべきか。」その答えはカリフォルニア都市連盟にとって望ましいものではなかった。連盟は州政府を提訴する予定である。彼らは「有権者は、住民投票提案22号(注)を圧倒的多数で可決し、これによって、知事と議会が今やろうと合意したことを断固禁止したのだ」と訴える。この対決は一見の価値がある。

注 住民投票提案22号:州政府に対し、再開発公社の収入源である固定資産税を他に転用させる立法権限等を制限する憲法修正案。2010年11月2日の住民投票において、賛成多数(60.7%)で成立。ブラウン知事は、この制限を回避して公社の固定資産税収入を転用するため、先述のような公社の解散を含む提案を行い、州議会は同趣旨の内容を含む2011~2012会計年度予算案を2011年6月28日に可決した。

参考サイト

2011年7月14日

執筆:Seth Benjamin, Senior Researcher

訳:牧 直美