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ワシントンD.C.にて米国地方行政セミナーを開催

 2025年4月22日から23日まで、ワシントンD.C.およびバージニア州アーリントンにおいて「米国地方行政セミナー」を開催しました。本セミナーは、米国の行政機構における連邦政府や州政府など各機関の役割や相互関係について学ぶ研修です。今回の主な訪問先4つを紹介します。

 国務省では、日米関係の状況や学術交流プログラム、姉妹都市交流に関する意見交換を行いました。国務省内で日本を担当する「日本部」の担当責任者は、今年両国間の人々の関係を強固にするための大きなイベントとして、大阪・関西万博に一番注目しており、開催に向けた日本側とのやりとりを通じて、日米関係はより強固なものになったと思っている、とお話いただきました。お話を伺う中で、改めて日本との関係を重要視されていることを感じることができました。

 また、米国の約2,700の都市、町、村を代表し、100年以上の歴史を有する団体「National Leagues of Cities」(NLC)および米国のカウンティ政府を代表する唯一の全国組織「National Association of Counties」(NACo)の本部も訪問しました。NACoの主な活動目的は、カウンティ政府が連邦政策決定のプロセスに参加できるようにすることであり、他にもNACoメンバーや一般の人々に向けた様々なデータ収集も行っているということでした。NLCも都市の優先事項を分析したレポートや、全国の都市の財政状態を追跡する財政状況報告書などを発行するなど、全国の自治体職員にとって信頼できる情報源として、知識や調査を提供しています。日本と米国の自治体がそれぞれお互いに学べることが多いため、今後も引き続き連携していきたいと意見が一致しました。

 バージニア州アーリントンでは、災害等の緊急時の対応について、お話を伺いました。アーリントンは連邦機関が密集するワシントンD.C.に隣接するという特殊な環境に加え、周辺各都市との距離が非常に近いこともあり、災害面でも各自治体と連携して取り組んでいます。最近は監視カメラや無線が増え、データポイントが多すぎるため、AIを活用してSNS上の情報を収集・抽出することで、状況把握を簡素化しようと試みているというお話をしていただきました。災害情報の多言語対応にもAIを活用する仕組みに移行予定とのことで、新しい技術を効果的に取り入れる重要性を改めて認識しました。

 Tax Foundationでは、米国の税制度についてご説明をいただき、連邦政府と州政府の財政の関係性が他の大多数の国とは大きく異なり、州が国家レベルの主権を持っていること、そのため州ごとに課している税の種類や税率が大きく違うことなどについてお話しいただきました。地域ごとに政治的や歴史的、産業構成などによってパターンがあることは大変興味深いお話でした。

 今回の訪問における各団体の方々との交流や学びは、今後の業務や政策形成においても有益なものとなりました。