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イーストハーレムでのガス爆発事故とその対応

日本でも大きく報道されているとおり、3月12日(水)午前9時30分ころ、イーストハーレムと呼ばれるマンハッタンの北東部において、ビル二棟が吹き飛ぶ大きなガス爆発事故が発生しました。報道によれば、この事故により3月19日現在で8名の方の死亡が確認されています。

倒壊した二棟のビルだけでなく、その周辺にあるビルについても、爆発の影響により窓ガラスや室内が破損したため、それらのビルに住んでいた多くの人々が知人や親戚の家もしくはニューヨーク市のシェルターに避難することを余儀なくされています。

事故の直後、ニューヨーク市緊急事態管理室(Office of Emergency Management(OEM))は、非政府機関であるアメリカ赤十字社(American Red Cross)と連携しながら、被害に遭った人々のための臨時避難所を爆発現場からやや北側に位置するビル内に設けました。

この臨時避難所は、被害に遭った人々がニューヨーク市の提供する別の臨時住宅に移った後に閉鎖されましたが、新たにOEMは、3月15日(土)の早朝より、住民サービスセンター(Resident Service Center。以下「センター」という。)を現場から2ブロック下った場所に開設しました。

このセンターは、必要となるであろう市のサービスや情報を、避難している人々に提供するために設けられたものでした。センターから提供された情報は英語とスペイン語で記載されていましたが、OEMは、センターを訪れる人々を支えるために動員したコミュニティー緊急事態対応チーム(Community Emergency Response Teams(CERT))の中に、多様な言語を話す人々に対応するべく、スペイン語、フランス語、日本語そして中国語の通訳を配置していました。当事務所の上級調査員であるMr. Matthew Gillamも、3月15日(土)と翌16日(日)に、日本語の通訳ボランティアとしてCERTに参加しました。CERTのメンバーは、被害に遭った人々がニューヨーク市警から避難先に持ち込まれた貴重品や生活用品を回収する際、これに付き添う活動もしていました。

アメリカ赤十字社をはじめとする非政府機関は、被害に遭った人々の様々なニーズに応えるための窓口をセンターの中に設けました。また、日米ソーシャルサービス(Japan America Social Services, Inc.)のようなNPO法人からは、多くのボランティアがセンターに駆け付けていました。

このように、爆発からわずか数日のうちで、センター内にはニューヨーク市が被害に遭った人々に対して必要な援助を施すための体制が整えられ、全ての人々が容易かつ効果的に援助を受けられるようにするための仕組みが出来上がりました。

当初の計画では、センターはサポートの開始から最初の一週間ぐらいで閉鎖される予定でしたが、支援のさらなる継続を望む声に応えるべく、さらに約一週間延長されることになり、3月23日にて運営が終了されました。センターの延長は、間違いなく被害に遭った人々の助けとなったでしょう。特に、不慮の事故により大きなトラウマを被った人々を慰め、その話に耳を傾けてくれるボランティアや職員を提供したことはとても意味があります。

現在、引き続きのサポートが必要な方には、Safe Horizonという別のNPO団体に相談するよう勧められています。

また、センターだけでなく、不動産関係のNPO法人からは、3か月を限度として、34部屋のアパートを自宅からの退去を余儀なくされた人々に割り当てることが発表されました。このほか、被害に遭った人々への基金が市長室の主導により立ち上げられています。

今回の爆発事故への対応を見ても分かるように、アメリカでは災害などが発生した場合、行政と民間が一体となって迅速な復興支援を行うための仕組みがとても発達しています。日本でも東日本大震災で多くの民間ボランティアが活躍しました。今後の災害対策においても、官民協働というキーワードが引き続き重要になっていくものと思われます。

所長補佐 松重 直也(警視庁派遣)