コンテンツへスキップ

地域社会に根ざした計画で都市の活力を維持(Part3)ニューヨーク

コミュニティの組織が地域の将来計画を策定する際には、その基本である計画策定手法が、その課題に取り組むために適切であるかを見極める必要がある。行政サービスの問題は、ニューヨークやシカゴといった米国の大都市で行われているような最新式の311コールサービス(市への苦情・問い合わせ一括窓口)により直接処理されていることが多い。しかしより広範にわたる課題は全く異なる方法で処理されている。

ニューヨーク市では、(計画策定手法についての)正式な手続きが規定されており、それはニューヨーク市憲章の中で定義づけられている。ニューヨーク市は59のコミュニティ地区に分割されており、それぞれコミュニティ委員会に代表されている。地域に根ざした計画は多くの場合、コミュニティ委員会によって発案される。ニューヨーク市の都市計画局には、面積、人口、住宅、主要施設、ゾーニング(土地利用規制)、地図といった、各地区の豊富な情報がある。

ニューヨーク市のコミュニティ組織は、条例で定められている以下の三つのいずれかの手法を使っている。

  • 特定の地域の用途変更及び、建築規模、建築密度の許可の変更を求める地域のゾーニングの提案について、市の都市計画局と協力すること。地域住民のグループで構成されるコミュニティ組織はコミュニティ委員会の支援と協力を得て、ゾーニングの変更案を作成・提言する。市の都市計画局は、コミュニティ組織に対し、分析、あるいは環境影響調査の資料作成やゾーニング申請書の提出を無償で行う。
  • 包括的な取り組みが求められる長期スパンかつ複雑な開発案件については、コミュニティ委員会が議会に提出する「No.197-a計画」を利用。計画はゴールを設定し、それを達成するための計画の枠組みを準備するものである。
  • 計画に掲げる戦略や目標を実行するに当たって連携的取組方法を用いながら、方針を地域住民に提示するため、関係機関の職員、地域の利害関係者、公選職で構成されるタスクフォースを活用する。

 

2012年2月14日

執筆者:Stephen Fasano, Senior Researcher

参考