コンテンツへスキップ

ジョージア州ディケーター市で自治体訪問研修を行いました

2023年9月24日から27日まで、ジョージア州ディケーター市で行われた、クレアニューヨーク事務所の1年目の職員を対象とした自治体訪問研修についてお伝えします。この研修は、日本との法制度の違いやベストプラクティスなどについて学ぶことを目的として実施されました。

ディケーター市の概要

ディケーター市は、人口約2万5千人で、ディカルブ郡の郡都として200年以上の歴史を持つ都市です。アトランタ市街地から鉄道(MARTA)で約15分の距離に位置し、その鉄道の駅は市中心部のダウンタウンの地下に整備されており、地上は広場として活用されています。これにより、歴史的な景観を保持しながら、街の賑わいを生み出しています。

ディケーター市では、市委員会委員(日本で言う市議会議員)が5人選出され、その中から市長が相互に選ばれます。また、市行政の代表であるシティーマネージャーは市委員会によって指名されます。市委員会のメンバーのうち、市長を含む3人が女性であり、市役員の大部分も女性であることが特筆すべき点です。さらに、市委員会ミーティング(日本でいう市議会)の会場は、市庁舎の1階に設けられ、市委員会メンバーと市民との間の物理的な距離を縮めるために段差を低く整備しています。さらに、市委員会ミーティング(日本でいう市議会)の会場は、市庁舎の1階に設けられ、市委員会メンバーと市民との間の物理的な距離を縮めるために段差を低く整備しています。さらに、ミーティングは毎月2回開催され、市民が直接発言できる機会が提供されています。このように、市民の声を注意深く受け入れ、政策に反映されることで、市民の納得度の高いまちづくりが実現できるように、ハードウェアとソフトウェアの両面から工夫がなされています。

ベストプラクティスの紹介

ここからは、具体的なディケーター市の施策について説明します。

都市計画においては、日本に比べて都市景観条例がより具体的であり、開発行為に関しては、計画段階から市民や開発事業者を交えて議論され、計画変更を重ねていました。中には、民間集合住宅の中心に公共の広場や公共用道路を整備させることで交通の導線の確保等を求める事例もありました。このように、米国民全体が抱える課題である、「銃や薬物の撲滅」や「環境保全」などをヴィジョンとして掲げつつ、市マスタープランや条例、事業化の家庭には市民の意見を色濃く反映していることが窺えました。

公共事業部署では、「建築確認」と「消防法検査」を行う部署を同じ施設に配置し、申請書類をデジタルで管理することで、ワンストップ窓口を提供し、他の自治体と比較して対応時間を大幅に短縮できているとのことでした。
また、清掃および財産監理の施設では、車両関連作業において、臭気や排気ガスなど職員の健康に配慮しており、施設屋上に太陽光パネルを設置し、天窓を活用して施設内で消費されるエネルギーを供給しています。また、草刈機については、地域のベンチャー企業が開発した電動仕様のものを積極的に導入し、地域経済の活性化に貢献する方針を取っていました。

市の主要産業は医療であり、国際的に著名な看護学校「エモリー・ラーニングスクール」が存在し、米国内外から約1,400名の生徒が在籍しています。この学校の第2キャンパスは生徒への福利厚生面の充実を目的としても整備され、ダウンタウン近郊に位置し、大きな経済的影響をもたらしています。また、市内のビジネスホテルと連携し、卒業生が講師として訪れる際に特別料金で宿泊できるため、交流人口も増加しています。さらに、学生たちは地元の学生に対して医療系のプログラムをボランティアで提供するなど、地域との協力効果が生まれています。

ディケーター市はアートによるまちづくりにも積極的に取り組んでいます。国際的なアート団体との協力を通じて、街の建物に壮大な壁画(ミューロ)を制作したり、市内の壁画、看板、信号の交換機などの公共物を地元アーティストの作品展示の場として提供することで、住民や市を訪れる人々に楽しんでもらうだけでなく、アートの人材育成にも寄与しています。
また、市制度施行200周年を記念して、市職員と地元アーティストからなるプロジェクトチームが結成され、統一ロゴデザインも制作されました。市内図書館では、毎年「Book as Art」という公募型の絵本展を開催し、市民がアートに触れ合う機会を提供しています。さらに、市の施設の廊下には多くの絵画が展示され、予算書にまでアートが取り入れられており、福利厚生面でもその効果を発揮しています。

歴史的な街並みの保全・活用、医療産業との連携、地元ベンチャー支援、そしてアートを戦略的にまちづくりに取り入れることにより、多くの理由から訪れる人々が増加し、その結果、訪れた人々を歓迎するために観光部署が積極的に機能しています。このため、観光案内施設はビジネスホテルの目の前に位置し、歴史的な施設、医療施設、ビジネス関連の施設などへのアクセスが簡単に取れ、街を楽しむための導線が整備されています。
さらに、ダウンタウンの中心部にある多くの歴史的建物は内部を改装し、飲食店などを誘致しており、美味しい食事も楽しめるようになっています。

クレアニューヨーク事務所の職員は、各市の施設を視察しながら、財政、公共事業、都市計画、観光・アート、警察など、各部署の責任者から説明を受けました。各責任者のヴィジョンが一貫しており、自身の職務について情熱的に語る姿が印象に残りました。