07 3月 2012

カリフォルニア州で新たな自治体財政破綻が発生

カリフォルニア州ストックトン市(Stockton)議会は、2月28日、カリフォルニア州法(通称AB506)に基づく債権者との交渉手続を開始する決議を行いました。

同市は、サンフランシスコ市の東方約100kmに位置する人口29万人、面積130平方kmの都市です。いわゆるリーマンショック後の税収の落ち込みに加え、右肩上がりの経済状況を前提とした複数年に渡る職員の賃金引き上げ協定の締結、退職年金、退職者向け健康保険の負担等がかさみ、2011-12年度には累積で2,000万ドル~3,600万ドルの収支不足が生じると見込まれています。

市議会においては、過去の決算を修正し、大幅に収支不足が増加する見通しなどが説明されるとともに、今後の市の運営に必要な資金を確保するため、市債の支払いを停止する措置なども取られる見通しとなりました。

2011年10月に成立した州法AB506により、カリフォルニア州の地方公共団体は、債権者と一定の事前交渉手続き(いわゆる裁判外紛争解決手続)を行う等、所要の手続きを経ない限り、連邦裁判所に破産法第9章に基づく破産申請を行うことができないこととされています。ストックトン市はAB506の最初の適用事例に当たります。


2012年2月29日
上席調査役  川崎穂高
Senior Researcher Seth Benjamin

参考

関連報道

  • ワシントン・ポスト 2012年2月29日
    Stockton council votes for mediation; city could become biggest in US to go bankrupt
  • ロサンゼルス・タイムス 2012年2月29日
    Stockton council weighs plan to forestall city’s insolvency

市の財政状況

AB506の概要

カリフォルニア州法 Assembly Bill No. 506
(2011年10月9日 ジェリー・ブラウン州知事署名)

○カリフォルニア州法は、課税権のあるどのような団体に対しても、連邦破産法に基づく破産の申立を行うことを認めている。この法律の目的は、すべての関心のある利害関係者とともに「中立的評価手続(neutral evaluation process)」を経なければ、地方公共団体が破産の申立を行うことができないようにすることである。代替方法として、もし地方公共団体が、その財政状態が、住民の健康、安全、福祉を危険にさらしているという根拠を示して「財政緊急事態」(fiscal emergency)を宣言する場合には、一定の手続きを経て、破産の申立を行うことができる。

○中立的評価手続は、いわゆる裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)である。地方公共団体は、すべての債権者に通知を送り、債権者は10日以内に手続に参加するかどうかの返事をしなければならない。

○参加表明した債権者と地方公共団体は、中立的評価者を選定する。中立的評価者は、破産関係事務に携わった経験が10年以上あるか、地方公共団体の財政(特に債務、財政再建、労務)の専門的経験を有していなければならない。

○中立的評価手続は60日以内に終了しなければならない。ただし、債権者の過半数が延長に賛成したときは、1回に限り30日間延長することができる。

○手続きに要する費用は、半分を地方公共団体が、半分を参加債権者が負担する。ただし別段の合意をしたときはその限りではない。

○中立的評価手続は、以下に該当する場合、終了する。

  • すべての参加債権者が合意を履行した場合
  • すべての参加債権者が合意に達したが、破産裁判官の承認を必要とする場合
  • 前述の期限を経過した場合
  • 債権者から手続参加の返事がなかった場合
  • 財政状態が「財政緊急事態」に該当することとなった場合

○「財政緊急事態」を宣言する場合、地方公共団体は、公聴会を開催し、財政状況によって住民の健康、安全、福祉が危機に瀕しているという根拠を提示しなければならない。また、財政緊急事態を宣言して60日以内に債務不履行を起こすことが確実であることを示さなければならない。

※AB506の全文

AB506に対するカリフォルニア州都市連盟の反応

カリフォルニア州都市連盟は、AB506に対し、地方公共団体の財政自主権を損なうもの等として反対を表明している。

http://www.cacities.org/index.jsp?displaytype=11&story=28482#