21 12月 2018

ニューヨーク市の「街路樹」の地図

2013年8月のブログで紹介した「百万本の樹NYC」の事業と共に、2015年に、NYCの公園局が「街路樹」の調査を行った。それから、このデータに基づき、「New York City Street Tree Map」という街路樹の電子地図が作成され、2016年に公開された。同地図を利用し、NYCの678,177本の「街路樹」を一本一本調べることが可能である。

この場合の「街路樹」というのは、公園局の管轄下にある道路わきに植えられている樹のみを意味し、市の交通局あるいは州・連邦政府が管理する道路、または市の公園の中や私有地にある樹は含まれていない。従って、百万本の樹事業によって植えられた樹の一部しか含まれていないわけである。

公園局のコミュニケーションとディジタルメディアのコーディネーター、チャールズ・コックラン氏によると、地図の目的はニューヨーク市の「都市緑化」に興味を持たせることである。細かい情報を提供すれば、市民がより深く関心を持ってくるではないかと期待し、地図が教育と市民参加のツールになることを目指しているそうである。効果が実際に現れているかどうかについて、データトラッキングを行っているけれど、2016年以前のデータがないので比較はできないから、まだ分からないらしい。これから、具体的な効果の評価ができることはひとつの目標である。

2015年に、2,000人以上のボランティアがすべての「街路樹」を調査し、データをアップロードした。コックラン氏によると、ボランティアを利用したのは、出費の節約よりも、スタッフや下請け会社をもし利用すれば市民との取り組みの機会を見逃してしまうので、第一歩から市民と協力し、意識とオーナーシップを促進する方針を採った。

それから、調査のデータを利用して作成された電子地図は2016年3月にベータ版として立ち上げられ、同年11月に公式サイトになった。3月の時点から現在まで、更新や改善が日常的に行われてきた。

地図に、一本の樹は丸で示され、その丸の大きさは樹の直径を反映し、色も樹種によって異なる。丸をクリックすれば、各樹について、学名、ID番号、幹の直径、と一番近い住所が表示される。また、Cyclomediaという会社のStreet Viewの写真と共に、環境効果が出る。さらに、上にあるボタンをクリックすれば、樹の手入れ方法や樹に関するイベントの情報にアクセスできたり、樹や公園等の手入れを行うグループ等も紹介してもらえる。ちなみに、公園局では登録者にメルマガも配信している。

これらの機能に加え、市民も、好きな樹を選び、「My Tree」に指定できる。そうすると、地図を開き、すぐにその樹に戻り、自分が行った手入れなどを記録したり、情報をシェアしたりできる。同じように、どの樹でも選び出し、「Record Your Care」のボタンをクリックすれば手入れを報告し、永遠にその樹の記録に残せる。2018年12月現在、2,393名のユーザーが登録され、4,663本の樹が「Favorite」(一番好き)と市民に選ばれている。

同地図はオープンデータを利用する。街路樹の調査のデータも地図自体のソフトも公開され、誰でもアクセスできる。ソースコードや変更の記録はhttps://tree-map.nycgovparks.org/learn/developersで見られる。

他の市にも街路樹の電子地図があるけれど、ニューヨークのものほど機能が豊富ではない。

ペンシルベニア州フィラデルフィア市とカリフォルニア州サンフランシスコ市の地図はGoogleのソフトを利用し、見掛けも機能もほぼ同じである。樹種でも住所でも検索ができ、樹のあるところは緑色の丸で、植える場所があるけれど現在無いところは茶色の丸で示されている。幹の直径や樹種はその丸のサイズや色で示されていない。ただ、丸をクリックすれば、サイドボックスで大きさ、種類、、環境効果などが出てくる。

オレゴン州ポートランド市のはEsriのソフトを利用し、丸のサイズと色によって幹の直径と樹種が示されている。樹の名前は地図に乗っている上に、丸をクリックすれば学名等の情報も出てくる。住所も地図の上に載っている上に、検索もできる。この地図だけには、載っていない樹を掲載してもらう機能が含まれていない。

オレゴン州ユージーン市の地図もEsriを利用するけれど一味違う。地図ではなく、航空写真をベースに、色別の同じサイズの丸で樹の位置が示され、その色は樹・切り株・空き(樹が植えられる場所)を示す。丸をクリックすれば、種類・サイトのID番号・幹の直径や樹の高さ等が載っているボックスが現れる。下のタブをクリックすると、Attribute Tableという情報ボックスも現れる。この地図だけに、すべてではなくても、大半の公園の樹が載っている。また、唯一、住所と共に、位置座標を示す地図である。

しかし、この例の中から、ニューヨークの地図がおそらく一般市民にとって一番利用しやすくて双方向の活用が可能ではないか。樹のケアや情報更新を促す機能を持ち、各樹の写真まで載せることも馴染みを促進すると思える。これによって、市民を動員し、「街路樹」(と、うまくいけば、すべての樹)をより健康的にしてニューヨーク市をより維持可能で強靭性のある町にする。

これから、地図の機能をもっとスムーズにスマホで利用できるようにし、また、「ツール・キット」を作り、他の市町村が「街路樹」の調査や地図の作成を自分で簡単に行える情報パーケージを用意したいとコックラン氏がおっしゃった。

Matthew Gillam
2018年12月