22 12月 2015

ナトリウム過剰摂取への警告!ニューヨーク市における全米初の取り組み

ニューヨーク市では、2015年12月1日から、全米で15店舗以上を展開する飲食チェーン店において、規定する一日のナトリウム摂取量を超える品目には、指定の警告表示を行わなければならないとする取り組みを開始しました。

過剰なナトリウム摂取は、高血圧を引き起こし、心臓病や脳卒中の危険性を高めるということはよく知られていますが、一方で、普段の食事の中に、どれだけナトリウムが含まれているかを気にしながら生活している人は、どれほどいるでしょうか。

ニューヨーク市の保健衛生局によると、ファストフード店のメニューに含まれるナトリウム量は、1997年から2010年までの間に20%以上増加しており、アメリカ人の食事に含有されるナトリウムの77%は、レストランの料理や加工食品によるものだといいます。また、国が推奨する一日のナトリウム摂取量2,300mg未満に対し、ニューヨークの成人における平均摂取量は、その約40%も多い3,200mgとのことでした。

ニューヨーク市の取り組みは、全米で15店舗以上を展開する飲食チェーン店に対し、一日のナトリウム摂取量2,300mgを超える品目について、指定のアイコン表示を行うことを義務付けており、90日間の経過措置期間の終了後の違反者には、200ドルの罰金が課せられます。100万人以上のニューヨーカーが毎日カロリー表示を見ており、その約80%の人々が、表示は役に立つと感じているといいます。今回の取り組みにより、ニューヨーク市内の飲食チェーン店で売られている約10%の品目が対象になるだろうと言われており、人々がナトリウム摂取にかかる知識を持ち、それらの購入や消費を控えることが期待されます。


警告表示 (NYC Health Departmentから引用)

ちなみに、日本では、どのようにナトリウム摂取量の基準が定められているのでしょうか。厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準2015年版」では、一日あたりの塩分摂取量について、12歳以上の男性は8.0g未満、女性は7.0g未満という目標値が掲げられています。これをナトリウム量に換算すると(ナトリウム量(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g))、日本では、12歳以上の男性は約3,150mg未満、女性は2,756mg未満という目標値となり、意外かもしれませんが、アメリカよりも高い設定です。また、WHO(世界保健機構)はアメリカよりも低い数値である、ナトリウム2,000 mg未満(食塩相当量5.0g未満)の摂取を推奨しており、日本は、アメリカやWHOよりも高い設定となっています。実際、厚生労働省が行っている国民健康・栄養調査(平成25年)の結果によると、日本の男性の一日における平均摂取量はナトリウム4,129mg(食塩相当量10.6g)、女性はナトリウム3,578mg(食塩相当量9.1g)と高い値となっており、これは、醤油や味噌、漬物といった、塩分が多く含まれる日本食が一因になっていると考えられています。しかし、ファストフードや加工食品などは、塩分だけでなく脂質や糖分の過剰摂取という別の問題もありますので、日本食も体に悪い!といった安易な判断はもちろん禁物です。また、日本食を盲目的にヘルシーだととらえてもいけません。

筆者は、ニューヨークに住み始めてから、環境の変化の中で、食について特に意識するようになりました。食事は、もちろん生きるために大切な行為ですが、同時に、家族や友人などとコミュニケーションを図ったり、料理を目で楽しんだり、おいしいと感じたりと、心を豊かにする行為でもあると思います。必要以上に成分を気にしながら食事をするのも味気ないですし、おいしい、食べたいと感じる食べ物の中には、塩分が多いものもあるでしょう。食べているものの内容を正しく理解した上で自身で取捨選択し、食事を楽しむために、今回のニューヨーク市の取り組みは、人々にとって、一つの判断材料となりうるでしょう。

<参考>