27 11月 2012

ニューヨークでの日本酒テイスティング ~JOY OF SAKE~

9月20日(木)、米国最大の日本酒の利き酒イベントである「JOY OF SAKE」が、マンハッタン・チェルシーで開催された。主催者は、伝統的な酒造りの技法に対する鑑賞力の育成を目指す非営利団体“JOY OF SAKE”。同団体は、日本酒の素晴らしさを広く認知してもらうために、毎年大規模な利き酒会を日米3会場(ホノルル・ニューヨーク・東京)で実施している。

また、同イベントでは、それぞれの地域の有名レストランのアペタイザーが用意され、参加者は料理とお酒のペアリングについて、実際に食べ比べをしながら学ぶことができる。そのような体験ができる本イベントは、全米の日本酒好きが集う、毎年恒例の一大日本酒イベントとなっている。

利き酒イベントで出品される日本酒

今年の利き酒会で出品された日本酒は359種類で、米国へ流通していない酒も多く含まれていた。これらのお酒は、一体どのように抽出されているのだろうか。

毎年、一番早い時期に利き酒イベントが開催されるホノルルでは、イベントの数日前に、日本酒のコンペティション「全米日本酒歓評会」が行われる。この歓評会に出品された日本酒が、3会場それぞれで開催される利き酒イベントに出品される仕組みになっている。

歓評会では、約10名の審査員が、大吟醸酒A、大吟醸酒B、吟醸酒、純米酒の審査部門毎に、銘柄を隠して審査する「目隠し審査」を実施、その年の優良銘酒(金賞・銀賞)を決定している。受賞した銘酒は、利き酒イベントにおける目玉となっている。

歓評会への出品手続き費用は、送料、通関料、保管料などをすべて含め、25,000円/品目。その他に現物の提出6本~18本が求められるのみである。更に、アメリカ合衆国のCOLA (Certificate of Label Approval)やFDA (Food and Drug Administration)認証を受けていない銘柄の出品も可能である。このようなことから、海外進出していない銘酒の多くを出品することができるのである。

当日のイベントの様子

会場は、木製のフロアに高い天井を備えた雰囲気あるイベントホール。1階と地階が開放され、上述した日本酒歓評会の審査部門毎に各銘酒が所狭しと配置されていた。入場の際には、試飲用のカップと銘酒のダイレクトリー(お酒のリスト)が配布される。参加者は、ダイレクトリーと実際のお酒を照らしあわせながら、興味があるお酒を、スポイトでカップに移し試飲を行なう。

開始直後から、米国全土から集結した日本酒マニアで賑わっていた(後日の集計結果では来場者は1,000人以上)。米国人が多く来場しているように見受けられ、意外にも日本人や日系人の割合は少ない印象だった。皆、真剣な眼差しで、酒のリストにある情報と、実際の酒の味わい・香り・色などを比較しながら、更に気がついた情報を書き添えるなどしていた。

試飲を楽しむ日本酒マニアの人々

真剣に追加情報を書き込む来場者

日本酒の理解促進に力を注ぐ人々

今回のイベントでは、NYを中心に日本酒の理解拡大などの取組みに尽力している二人の米国人と話すことができた。一人は、JETAAのメンバーで、レストラン「バオ・ヌードル」店主のクリス・ジョンソン氏。もう一人は、米国における日本酒の理解促進、知識の普及活動を行なっている団体「URBAN SAKE.COM」のティモシー・サリバン氏(2007年に、日本酒の理解促進を国内外へ広く行なうスペシャリストに対して与えられる称号、「酒サムライ」を授与されている)である。

両氏とも、まだ米国に流通していないが、素晴らしいお酒が日本には多くあると述べ、それらの米国進出を手伝うことは非常に魅力的であり、手伝えることがあればなんでも相談して欲しいと語っていた。

自治体による、未来への投資案

日本酒や日本食が米国社会に浸透している様子を改めてうかがい知ることができたJOY OF SAKEであったが、その一方、米国に広く認知してもらうためには、説得力を持つプロモーションができる米国人や食品関係輸入卸企業(ディストリビューター)と売り込みをかける企業との連携が非常に重要であると感じた。

地元企業とディストリビューターとのマッチングについては、既に多くの自治体が取組んでいるが、現地のセールスレプレゼンタティブ(営業代行人)や情報発信力を持つ米国人とのマッチングを耳にすることは少ない。

クリス・ジョンソン氏のように、JETプログラム経験者で日本食と日本酒に魅力を感じ、米国でプロモーションを行なっている人も少なくない。自治体にとって、地元の海外プロモーションにおける将来的な連携先を考える上で、地元に配属されているJET参加者は、最もその可能性を秘めた人材であろう。自治体が積極的にJET青年を巻き込み、地元を世界に売込む際の強力なパートナーとして育成するような、「未来への投資」的な取組みも面白いかもしれない。


ニューヨーク事務所 伊藤所長補佐(宮城県派遣)