18 11月 2013

『日本の地域2団体が第6回ティファニー財団賞を受賞』~石川県七尾市「一本杉通り振興会」と宮城県仙台市「ENVISI」からの活動報告in NY~

地域で特徴的な取り組みを進める『一本杉通り振興会』(石川県七尾市)、『ENVISI(エンヴィジ)』(宮城県仙台市)の2団体がティファニー財団賞を受賞しました。そして、この度同賞を受賞した両団体の活動内容について発表するため、2013年11月6日、『パブリックセミナー“文化、芸術を活用した地域活性化”~日本からの報告』(会場:自治体国際化協会ニューヨーク事務所)が開催されたので、その概要を報告します。

 

このセミナーは、(公財)日本国際交流センター(JCIE / Japan Center for International Exchange)と当事務所が共催したもので、受賞団体関係者を含め約40名の地域振興関係者が出席しました。本年のティファニー財団賞を受賞した2団体『一本杉通り振興会』(石川県七尾市)、『ENVISI(エンヴィジ)』(宮城県仙台市)から活動内容についてプレゼンテーションが行われた他、セミナー終了後には、受賞者、各関係者を交えての交流レセプションが開催されました。

今回で第6回目を迎えるティファニー財団賞は、日本の伝統文化の振興と地域社会の活性化に功績のある団体に対して毎年1回顕彰を行い、各地域において民間レベルで行われている活動の全国的な認知を広げることを目的としたプログラムで、(公財)日本国際交流センター(東京都港区)と米国のテイファニー財団(The Tiffany & Co. Foundation) との協力により2007年12月に創設されました。ティファニー財団はティファニー・アンド・カンパニーにより設立され、米国を中心に芸術分野等において助成活動を実施しており、この表彰事業は、日本における初めての本格的な活動となっています。

ティファニー財団賞「伝統文化大賞」を受賞された『一本杉通り振興会』は、石川県七尾市で600年以上の長い歴史を持つ街道“一本杉通り”の振興を図るため、地域で小売店等を営む各事業者が集まり設立された団体です。“一本杉通り”の活性化を図るため実施されている様々な取り組みのうち、今回は「花嫁のれん展」の開催を通じ、花嫁が嫁入りの際に加賀友禅で描かれた吉祥模様ののれん「花のれん」を持参するという、幕末から受け継がれる風習を地域で継承しようとの活動が評価されました。

「花嫁のれん」は、幕末から明治時代初期の頃、能登半島で庶民生活の風習の中に生まれました。婚礼当日、花嫁は実家の家紋を入れた「花嫁のれん」を持参し、花婿の家の仏間入口に掛けた「花嫁のれん」を花嫁がくぐることで結婚式が始まります。嫁いでいく娘に贈る「花嫁のれん」には親の様々な思いが込められているのです。

同振興会は毎年ゴールデンウィークに、「花嫁のれん」約百数十枚を一本杉通りを中心に展示し、訪問客にのれんに纏わる話などを語るイベント「花嫁のれん展」を開催しています。「花嫁のれん」の色や柄は、製作された時代の流行り廃りによって様々で、訪問客の目を楽しませています。

同振興会からは鳥居会長他3名が来米され、今年2013年に第10回目の開催を迎えた「花嫁のれん展」の概要や、近年、嫁入り道具の一つとして「花嫁のれん」が再評価されつつあるという取り組みの成果などが発表されました。会場には、実際にのれんが展示され、参加者は美しい紋様に彩られたのれんを鑑賞することができました。

ティファニー財団賞「伝統文化振興賞」を受賞された『ENVISI』は、“ENVISION”(想像する・思いを巡らす)から命名されたアート組織で、アートの力でまちの見えざる価値、人と人との間に見えざる絆をつなぎ、新たな活力を生み出すことを目的に、宮城県仙台市を中心に活動されています。

宮城県塩竈市以北から三陸地方南部では、神社の神職が正月の神棚飾りのために縁起物を切り抜いた半紙「きりこ」を氏子に配布する風習が残っており、神社毎に「きりこ」のデザインも異なっています。

『ENVISI』は東日本大震災が起きる前年の2010年、宮城県南三陸町内の女性達と協働し、町内の各家庭が持つエピソードを「きりこ」の様式を用いて表現し、町並みを飾るというアート・プロジェクト「きりこプロジェクト」を開始しました。震災で一度は途絶えた取り組みですが、『ENVISI』は多くの協力者やボランティア団体と協力し、仮設商店街に230枚の「きりこ」を飾り、家屋が流出した敷地にはアルミ複合板製の「きりこボード」を設置するなどし、このプロジェクトを再開したのです。

『ENVISI』の吉川代表からは、“津波の被害により町並みが失われた南三陸町で「きりこ」アートを再び展示することにより、町が持っていた様々な記憶を後世に伝えたい”というプロジェクトに込められた思いが英語で熱心に語られました。

プレゼンテーションに引き続いて開催されたレセプションでは、発表者と来場者間の交流や情報交換も活発に行われ、受賞団体関係者にとって大きな手応えを感じるセミナー開催となりました。

地域社会の活性化に向けた受賞団体各関係者の皆様のこれまでの尽力に深く敬意を表すると共に、それぞれの活動が今後も継続し、一層発展するよう期待しています。

※ティファニー財団賞及び各受賞団体の活動に係る詳細については、以下のウェブサイトをご参照下さい。

会場からの質問に答える鳥居一本杉通り振興会長

吉川ENVISI代表によるプレゼンテーションの様子

会場に展示された「花嫁のれん」

家屋流出後の宅地に設置された「きりこボード」(アルミ複合板製)


ニューヨーク事務所 所長補佐 吉川(島根県松江市派遣)